愛大発! 元気が出るファーマーズマーケット

対面販売の場から生まれる、感謝の気持ちや、心のつながり。
ファーマーズマーケット開催に取り組む、愛大生の活動についてお届けします!
出典:愛太陽ファーマーズマーケット

グローバル化で世界中の食品が入手可能になるという流れの中、むしろ身近なものを購入することで、生産者と消費者の関係を築いていくという取り組みが、アメリカをはじめとする先進国で盛んです。日本にも直売所は多くあったものの、多くが郊外に限られていた中、農林水産省は都市部の消費者に向けた仮設型直売システムとして2009年に「マルシェ・ジャポン・プロジェクト」をスタートさせました。

こうした「都市型マルシェ」の一つとして知られる、東京・青山のファーマーズマーケット。毎回60~70もの出店者たちと共に毎週開催され、来年で10周年を迎えます。「農家と都市生活者の接点」を作るという理念のもと、東日本大震災の翌日にもマーケットを実施。東京中のコンビニの棚から食べ物が消える中、農家からの豊富な食材を販売、買いに来た人々に食べ物と同時に安堵感を提供することで、農家と消費者をつなぎました。

わざわざ土地代のかかる所で出店するデメリットなど、出店者もリスクを負わざるを得ない都会での直売。それがここまで広がり、受け入れられている理由は、そうした出店者と購入者の間に築かれた関係性にあるのでしょう。

愛媛で同様の取り組みにチャレンジしているのが、愛媛大学 佐藤ゼミの生徒たち。農産物の直売所、JAえひめ中央太陽(おひさま)市の協力を得ながら、直売の場であるファーマーズマーケットを運営しています。まちづくりを学ぶ一環としての活動ですが、その狙い、プロジェクトへの思いについて、同ゼミのメンバーにお話をお聞きしました。


出典:愛太陽ファーマーズマーケット

(後列左から 迫田郁子さん、菅花穂さん、廣見夏帆さん、前列左から 柴野真実さん、松下里穂さん)

愛太陽(あいたいよう)ファーマーズマーケット

「目標としているのは、生産者と消費者がダイレクトに会って、生産者の思いを聞いてもらうこと。それによってその食品の価値を知り、消費者に、商品そのものが持っている以上の美味しさを感じてもらうことです。」概要を説明してくれる、広報担当の菅さん。素材の味に加え、商品にまつわる話を聞くことで感じる有り難みの味を「もう一つの味わい」と呼び、これを感じてもらいたいのだそう。背景には、消費者の食への関心の低さから品質よりも価格の低さを選んでしまう傾向、また逆に、無農薬などの安全な食品を求めつつ、低農薬栽培ゆえの虫の付着などには寛容になれない、といったことへの問題意識があり、これを解決する方法として対面販売の試みがスタートしました。

2016年のプロジェクト開始以来、ゼミ生たちは個別の役割を担ってきました。前述した①広報に加えて、②ディレクター(全体の取りまとめ) ③プロデューサー(太陽市との連携など)④会計 ⑤リサーチャー(備品購入の際の情報収集など)を受け持ちます。必要な領収書が手に入らない時には奔走し(会計担当の廣見さん)、購入品を厳選するために「めっっっちゃリサーチします」(リサーチャーの柴野さん)と、イベントそのもの以外に各自の仕事をこなしながらのプロジェクト運営。キツイと感じることもありそうですが、「(役割を)割り振られたら、なんだか向いてる気がしてくるんですよ!」朗らかに答える迫田さん(プロデューサー)。難しい場面があっても、皆さん、それに勝るやりがいを感じているようです。


出典:愛太陽ファーマーズマーケット

このプロジェクトの目的は、生産者・消費者間にコミュニケーションを生み出す手助けをすること。その上で欠かせないこととして、マーケット開催と並行して取り組んでいることがあります。それは学生たちが生産者を訪ね、商品そのものや、その背景にあるストーリーを聞き取ること。その内容は、イベント当日、生徒たちが各出店者の販売応援をする際に生かされます。


出典:愛太陽ファーマーズマーケット

生徒による生産者への聞き取り内容は、チラシに落とし込まれ、当日配布されます。より”伝わる”チラシにするべく、佐藤先生の指導のもと、再撮影や紹介文の書き直しが続くことも。アングルやポージングを考慮して撮影したり、レイアウトにも配慮されたチラシは完成度が高く、とても見やすい&読みやすい。真剣に取り組みながら作ったものが印刷されてくると、感激もひとしおだそう。生き生き、そしてほのぼのとした文章から、生産者の思いや商品のことが新鮮に伝わってきます。

売る人、買う人、お手伝いする人。三方良しのプロジェクト!

やりがいを尋ねると、みんな一様に、出店者の方々やお客さんの反応について話してくれました。何気なく手にしていた食品のパッケージに、ファーマーズマーケット出店者の名前があったと喜んでくれたお客さんのこと、出店者の姿を見て自ら参加を表明してくれたぶどう農家の方のこと。生産者と消費者の距離を近づけるという、佐藤ゼミの試みがしっかりと生きています!

一方で、ゼミ生たちも、出店者の方々に助けられているそう。マーケットは天候に左右されるため、イベント直前に出店キャンセルが出てしまうことも。そんなことが起きないよう、なんとか出品できるものを用意しようと奮闘してくれる生産者さんの存在。そしてパワーの源は、出店者さんの商品そのもの!「大洲の白菜は有名なんですが、これが本当に美味しくて、重たいけどいつも買って帰ります。お肉を挟んでミルフィーユにしたり...」「私は加工食品を扱う出店者さんを担当していて、そのおからケーキが、食べだすともう止まらないんです!」

出店者が楽しみ、お客さんがリピーターになるファーマーズマーケット。それを力一杯プロデュースしている、学生さんのお話を聞かせてもらったら、私もマーケットへ行ってみたくなりました。

心も体も元気にしてくれるファーマーズマーケット、次回は11月25日(日)の開催です。佐藤ゼミの皆さんにその抱負を語っていただきました。動画でどうぞ! 

(BGMは、愛太陽ファーマーズマーケットのテーマソングです。 作曲 by ゼミの先輩)

 

第10回 愛太陽ファーマーズマーケット

開催日: 2018年11月25日(日)
時間: 8:30~正午
開催場所: JAえひめ中央「太陽市」駐車場
https://www.facebook.com/aitaiyoufarmersmarket/