謎めきの四国名刹・石手寺に迫ります!

見どころ満載、とはこのお寺のためにある言葉...石手寺について知るごとに、そんな思いが強まります。四国を代表するお寺でありながら、珍・名所。その中身とは?

国重要文化財7点、国宝1点、国内最大の弘法大師像を擁し、寺内には複数のパワースポット。「ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン」の1つ星を獲得しており、初詣参拝者数は24万人(産経ニュース調べ。2015年)と県内トップを誇る一方で、「我が道をゆくお寺」「カオス」「妖しさ100%」などと表現されている石手寺... これで興味が湧かない方が難しい!?

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

aiuさん(@aaaaaindy)がシェアした投稿 - 2018年 8月月26日午前6時22分PDT

弘法大師(空海)の足跡を辿って四国88カ所の霊場を巡るお遍路。うるう年の2016年は、88番礼所から1番札所へ逆回りするとご利益倍増ということで、例年以上に多くの人々がチャレンジしたそう。この逆歩きを初めて行った人物であり、四国遍路を始めたとされるのが、衛門三郎。石手寺はそのゆかりの地であるとされ、衛門三郎像が入り口に置かれています。乞うように両手をついて座り込んだ像には、何かしら訴えかけるものがあります。そう、彼はこの寺に伝わる伝説の人物なのです。

石手寺という名の由来

今から1000年以上も昔の話。衛門三郎は、傲慢で欲張りな大地主でした。ある日、一晩の宿を乞う薄汚い僧が訪ねてきますが、乱暴に追い払ったため、僧の持っていた鉢が落ちて8つに割れてしまいます。僧が去ると、なんと衛門三郎の8人の息子全員が次々と亡くなり、その後、衛門三郎は88箇所を回る改悛の旅に出るのでした。

若き日の弘法大師であったあの時の僧に会いたいと、88箇所をなんと20周+逆回りで1周した衛門三郎の姿は、あの日の薄汚れた僧侶さながらであったといいます。ようやく弘法大師と巡り会い、泣き崩れながら謝った衛門三郎。弘法大師が足元の石を拾い「衛門三郎再生」と書いて握らせると、衛門三郎は静かに息を引きとったそうな。

それから時代を経て、伊予の豪族河野息利に息子が生まれます。その左手にあの「衛門三郎再生」の石を握りしめて。これを境に、寺号が当時の「安養寺」から石手寺に改められました。石は「玉の石」として、今日も宝物館に収められています。

体いたわるご利益アイテムたち

玉の石は、石手寺を代表する3つの石のひとつで、これ以外に子宝石、元気石があります。敷地内の訶梨帝母天堂(かりていもてんどう)の石を持ち帰ってお守りにすると、子宝、安産に恵まれるそう。無事に出産したら、石に子供の名前を書き、新しい石を添えて2つの石を戻す習わしです。本堂横にあるのは元気石。ひとつ取って、心身の復活を願いながら1年間手元に保管したら、別の石を7つ添えて“七転び八起きの石”として返します。衛門三郎伝説になぞらえ、改心と復活が望めるのだそう。

この他に、仁王門脇に下げられた大わらじは足の悪いところの回復に、阿弥陀堂は認知症予防のご利益があるなど、頭から足まで面倒を見てくれる、石手寺の懐の深さを感じます。

ちなみに、慈愛、実現、意欲の力をアップするなど、内面に効く“玉”シリーズ(*編集部による命名です)もありますよ。敷地内全方位をカバーするように配置されているので、見つけてみて。

ジャンルを問わない仏像の数々

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

中野ゆきさん(@yukipon_nakano)がシェアした投稿 - 2018年 6月月16日午前3時33分PDT

印度グランプリ作家仏陀石仏群、だそうです

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

ANEIさん(@takashisaiki_)がシェアした投稿 - 2018年 8月月16日午前7時04分PDT

恵比寿さん?

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

Akaneさん(@akame1722)がシェアした投稿 - 2018年 7月月21日午前5時24分PDT

... 仏像? 
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

BA2MIKIさん(@ba2_miki)がシェアした投稿 - 2018年 8月月20日午後9時56分PDT

石の手!

確かに統一感はないような仏像群です...

パワースポット、陰と陽

入り口で参拝者を迎えてくれる国宝・仁王門は、鎌倉時代のもので、楼門(屋根付き二階建ての門)の一部は運慶(鎌倉初期の名匠)、門下に配された左右の仁王像は湛慶(運慶の長男)の作と伝えられています。続いて三重塔に進むと、縁側に白い袋がずらり。ずっしりと重たいそれらにはマジック書きで円明寺、延命寺... とお寺の名前が。これは「お砂撫で(おすななで)」といって、住職が持ち帰った霊場88箇所の砂の入った袋を撫でながら煩悩を沈め、心身の回復を祈願するもの。こうすることで、全ての霊場を巡ったことになり、ミニお遍路が完了するのだそう。砂を媒介に他の霊場参りもできるようにとのはからい。パワースポットであり、住職の人間らしい思いやりに満たされた空間です。
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

Reeさん(@ree_sue27)がシェアした投稿 - 2018年 3月月6日午前5時32分PST

石手寺にはこのような“寺内パワースポット”が他にもあり、その中でも非常に独特なのが「地底マントラ」です。小高い丘に突如開かれる赤い扉。内側にかすかに明かりが見えますが、基本的には薄暗い洞窟を、手すり代わりに張られたロープを頼りに進みます。仏像、お地蔵、不思議な像が並ぶ内部は、神聖さと不気味さのせめぎ合い。出口に近づくほどに急ぎ足になります... が、出たら出たで、今度は「マントラ堂」へと続く不思議な入り口が待ち構えています。何やら読めない言語の書かれた看板が掲げられ、閻魔様のような像が鎮座... ここまできたら、きっと参拝に来ていたことを忘れ、不思議な世界のただ中にいることに気づくでしょう。
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

Tadao Higakiさん(@tadaoh73)がシェアした投稿 - 2017年 8月月28日午後10時04分PDT

というわけで、“満載”の石手寺ですが、それはホームページを見ても明らか。お寺らしく祈願や供養について、また仏教、お遍路、国宝やパワースポットについてもかなり仔細に書かれている他、悩み相談のページも。駆け込み寺として、食事と宿、お金まで面倒を見てくれるとあります。

お遍路を支える文化として根付いている善根宿(ぜんこんやど)の精神からくるのでしょう。地元の人々が参拝者に食事や宿を提供することで、お参りの旅を続けられるようサポートするのです。それぞれに事情を抱えたお遍路さんたちを温かく受け入れる文化は、現在にも引き継がれています。

参拝者の中には、こうした助けを借りながら、20歳から始めて115回のお遍路を回った人もいると、ご住職の加藤さん。お遍路の魅力は、反省のまなざしと他者との共感を得ることであると語ります。もしかしたら石手寺は、不思議な像たちによって、そして個性的なご利益アイテムによって、“すべて受け入れる”という世界観を伝えてくれているのかもしれませんね。



 
四国霊場五十一番札所 熊野山 石手寺
愛媛県松山市石手2-9-21
開門時間:8:00~17:00 *お参りは24時間可能
http://nehan.net/index.html