愛媛の「勝たせる」神社!?
瀬戸内海に浮かぶ島々の一つ、神の島と呼ばれる大三島(おおみしま)。そのちょうど真ん中あたりに大山祇(おおやまづみ)神社は建てられています。ある特別な理由で、サイクリングロードや美術館などで最近注目の大三島の中でも、ここはイチオシの場所なんです。
ここまで格式高い神社が、愛媛の島に
国内の神社はすべて、戦後の社格制度(神社の格付け)の名残で、そのランクに応じて「神宮」や「大社」といった社号が与えられています。大山祇神社は、伊予国の一の宮であり、当時の各付けは国幣大社。明治政府により上位から官社、諸社、無格社と三分割して形成されたヒエラルキーの内、国幣大社は官社に含まれます。つまり、愛媛県でナンバーワンの神社かつ、上位三分の一に含まれる高い等級の、格式高い神社なのです。
昔から、山の神、海の神、戦いの神として崇拝されてきた大山祇神社。多くの武将や名だたる人物たちが参拝に訪れてきたのは、その格の高さゆえかもしれません。が、格上の神社は他にもたくさんあります。わざわざ海を渡りここへ詣でる理由が他にあるとしたら、何でしょうか? ハチイチペイパー編集部は、「大山祇神社は、勝利へ導く“勝たせ”神社だから」という仮説を立てて、これを検証してみることにしました。
検証① リーダーたちは勝つために足を運ぶ
戦国武将の拠り所として
大山祇神社は、村上水軍が戦いの前に訪れて戦勝祈願をしたことで知られています。武将たちは武具を奉納し、武運の祈願や戦勝のお礼のために甲冑や刀剣などを奉納しました。その数は数万点におよび、国宝・重要文化財に指定された武具のなんと、およそ8割がここに保存・展示されています。宝物館には源頼朝など名だたる武将の甲冑などが展示され、この神社がどれほど多くの武人たちの拠り所として崇められていたかを物語っています。
名君・名将も勝利を求めて参拝
拝殿前の回廊を歩くと目に入ってくるのは、軒下にずらりと掲げられた額入りの写真。大半がセピア色に色あせていて、うっかり見流してしまいそうですが、実はそうそうたる顔ぶれなのです。
初代総理大臣であり4回首相を務めた伊藤博文、連合艦隊司令長官として戦争の最高指揮官を務めた山本五十六など、歴代総理や軍人、財政界のトップなど、国家の舵取りや戦い・競争における勝利を求められた人々です。
今よりも交通手段が限られていた当時、四国の島まで参拝に訪れたリーダー達。国を導くため、何よりも勝つために、大山祇神社を選んで足を運んだことがうかがえます。ちなみに、サッカー四国リーグ、FC今治の岡田監督も就任後、必勝祈願に訪れています。
大山祇神社はとりわけ勝負事にご利益があり、ここ一番の大勝負の前に参拝するとよい、とされています。まさに、勝たせてくれる神社ですね。
検証② 極上の“気”に満たされている
「大三島には手つかずの自然が残り、エネルギーがもらえる」と、「日本一美しい島・大三島をつくろうプロジェクト」ディレクターであり、建築家の伊東豊雄さん。その中でも大山祇神社は重要な存在」だと語ります。大山祇神社を擁する島そのものが、強い自然の生命力を持っているということなのですね。
境内は広く、静かに澄んだ空気が満ちています。外界を隔てるかのように茂る楠の数は、200本。神社境内に密生する原始林としては日本最古の楠群として、天然記念物に指定されています。その中でも目を引くのは、推定樹齢2600年の大楠、大山祇神社の御神木です。紀元前から生きている古木は、その悠然とした存在感で、参拝者の心を落ちつけてくれます。その正面に位置する本殿前にさしかかると、ピリピリッと体感できるほどの強い気が感じられることもあるそう。四国随一のパワースポットならではの強力な気に包まれて、雑念や懸念から解放されて胸がスッとするよう。
自然が持つ力を感じることで、心の奥からパワーがみなぎるような気持ちになれるこの場所。自分の中の気が満たされれば、自分のしたいこと、すべきことがクリアに見えてくるものです。勝つための判断力を後押ししてくれる「勝たせ」神社の要素ありと言えそうです。
検証③ 勝つことは決まっている
大山祇神社には、斎田(さいでん)と呼ばれる小さな田んぼがあります。ここで毎年行われる、ユニークな伝統行事が、一人角力(ひとりずもう)。年2回、春のお田植え祭と秋の抜穂(ぬきほ)祭の時にのみ見られる、全国でも珍しい神事です。五穀豊穣を願って稲の精霊と力士が戦うという設定のもと、力士役が、あたかも精霊と取り組みをしているかのように、見えない精霊によってひっくり返されたりする姿は、本当の取り組みを見ているようなライブ感があり、一見の価値あり。ポイントは、稲の精が2勝1敗で“必ず”勝つことになっていること。豊作を確実にするために、あらかじめ勝つ予定で勝負することで勝利(豊作)を引き寄せようという考え方、「勝たせ」神社ならではではありませんか?
勝つためにもう一つ外せないもの?
国内随一の数量を誇る武具、群生する楠…数量の豊かさに縁があるかのごとく、大山祇神社は無数の武将、多くの著名人を引きつけてもきました。そしてもう一つ、なんと神社の外にも、豊富さを感じさせる場所が!
50~60種類ものおかずが目の前に並ぶお食事処、その名も「大漁食堂」です。大三島の玄関口にあるお店として、その名に恥じない料理でもてなしたいという大将の思いの込められたお惣菜の数々。店内のレンジを使い、熱々でいただくことも出来ます。
観光客やサイクリストたちの間で話題になっているのは、名物の海鮮丼。新鮮なネタを分厚く切って、あったか酢飯の上にごろっと贅沢に盛ってくれます。地元の人もひっきりなしに訪れるのも納得の味とボリューム。いざ、ここで勝つための腹ごしらえを!
TEL:0897-82-003
駐車場:無 (最寄:藤公園市営駐車場・無料50台)
閉門:17時