素敵すぎる!リバイブした愛媛の古民家と、存続のために頑張る人々

伝統的な日本家屋の造りを残し、初めてなのになぜか懐かしいような気持ちにさせられる古民家。「住んでみたい」と思った人もいるのではないでしょうか。

出典:愛媛県古民家再生協会

一方で、高齢化の波などを受け、空き家となる古民家は増加傾向にあります。家は人が住まなければ風化してしまいます。放っておいては貴重な財産が危機に晒されてしまうと共に、倒壊の恐れもあり、全国的に問題となっています。

愛媛もその例外ではありません。そんな空き家・古民家に新たな価値を生み出す活動を行う人々が愛媛にいます。

愛媛県古民家再生協会は、空き家・古民家の調査・保存・再生・活用や、古民家に携わる若手技術者育成、古民家・空き家の相談対応などを通して、空き家・古民家に新たな価値を生み出す活動をしています。同協会は、伝統家屋の良さは残しつつ暮らしやすさをプラスした再生を行っており、既に多数の実績を残しています。

【宇和島市 S邸】

出典:愛媛県古民家再生協会

築142年の古民家。施工主の曽祖父が大工さんで、地元の山で取れた木材を使用して建てた家を、若い夫婦が熱い想いを受け継いで再生されました。

出典:愛媛県古民家再生協会

憩いの場となるダイニングから見える岩肌は、家族が昔から慣れ親しんだもの。とても優雅で、まるで高級別荘のようです。

出典:愛媛県古民家再生協会

元の建築に使われていた梁を生かしつつ、漆喰の新しくも落ち着いた雰囲気がとても素敵な空間です。こちらの家は2012年の日本漆喰協会作品賞に選ばれています。

細部に宿る美しさと技術。存続のために後継者育成に注力

【松前町 庄屋屋敷】

出典:愛媛県古民家再生協会

同協会では、単なる古民家再生だけでなく、未来の職人・技術者の育成の場に繋げようと、松山市の河原アート・デザイン専門学校の学生達との協働プロジェクトも実施しています。

若い人に古民家再生に関心を持ってもらうだけでなく、再生アイデアを企画してもらう事で古民家に関する知識を深めてもらう事や、実際に「自分が関わった家屋」として古民家に愛着を感じてもらう事を目的としたもの。第一弾となったのが、伊予郡松前町にある築102年の庄屋屋敷でした。

出典:愛媛県古民家再生協会

視察した学生たちが6グループに分かれ再生案を提案。採用案を基に再生工事に着手し、敷地内にある長屋門・蔵・厠棟も全て再生しました。学生たちは瓦下ろし、木舞のえつり、土壁塗りなどの現場作業を体験しました。

出典:愛媛県古民家再生協会

【上島町 ゲストハウス「汐見の家」】

出典:汐見の家

プロジェクトの第二弾はゲストハウス「汐見の家」でした。数十年来空き家になっていた古民家をオーナーの意向でゲストハウスとして再生。壁塗りなどを行った学生たちの中には、この家や佐島に愛着をもつ人もいたそうです。

出典:愛媛古民家再生協会

日系移民の祖先が住んでいた住宅で、佐島ならではの建築様式を備えつつも、ガラスの使い方や建具が小粋な造り。原型を生かしつつ、ゲストハウス仕様にしています。

出典:汐見の家

当初はあまり古民家に対して知識や興味のなかった学生が、熱を帯びていく姿は協会の人たちの大きな励みにもなりました。このプロジェクトに参加した学生のひとりは、その経験をきっかけに同協会へ就職し、現在は学生達に教える側になっているそうです。

魅力を伝え「存続させたい」と思ってもらえるように

貴重な古民家を少しでも残していくためには「まず知ってもらう事、体験してもらう事が一番大切」と同協会の武知美穂理事長は話します。同協会では古民家のファンを着実に増やすための取り組みを続けています。

出典:汐見の家

将来的には古民家の発掘から再生、流通まで、一貫で手がけるシステムの構築を目指しているそうです。

直近では、上島町弓削島の古民家が幼稚園の園外施設としてオープンを控えています。プレお泊まり保育や、夏の林間学校的に使ってもらい、幼い頃から古民家に親しめるようにする計画とのことで、新たな古民家との接点となりそう。古民家の存続に向けて、新たな挑戦は続きます。

 

愛媛県古民家再生協会
TEL:089-956-0105
愛媛県松山市北井門2丁目25-16-101
https://www.ehime-kominka.com/