愛媛が誇る、国民的飲料「ポンジュース」​の「ポン」って、なに?!​

出典:株式会社えひめ飲料

「​こだわりは、まじめです。​」のキャッチフレーズでおなじみの「ポンジュース」は全国的にも「美味し​いジュー​ス」として知られています。

ロングセラー商品としての安定した実力はもちろん、近年は企業とのコラボによるお菓子やお酒なども多数生まれ、新たなファンを拡大中。レトロながら、​人々の心に深く残る​パッケージも唯一無二の存在です。

でも素朴な疑問で、なんで「ポンジュース」という名前になったのでしょう。「ポン」ってどんな意味?​今回は、ポンジュースの歴史を紐解きながら、その疑問に迫って​みようと思います。

誕生のきっかけはアメリカ!目からウロコのオレンジジュース文化

ポンジュースの誕生のきっかけは、海の向こうアメリカにありました。

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時は1951年。現・​株式会社​えひめ飲料の前身「愛媛県青果農業​協​同組合連合会(略称:青果連)」会長の桐野忠兵衛氏は、愛媛のみかん産業を発展させるべく、​果樹産業​が盛んだったアメリカへ、​状況​調査に向かったのです。

いちばん驚いたのは、食事にオレンジジュースが付いてきたこと。当時の日本において、みかんは生食か缶詰で消費されるものだったため、そもそもジュースにして飲むという発想に驚き​ました。

​さらにそれが当たり前の様に食事とともに出されるという事に、二度衝撃を受けたのでした。

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桐​野氏​​は、​現地の工場でオレンジの他にもグレープフルーツやタンゼリンなどがジュースになっているのを見て、みかんをはじめとする日本の柑橘類もまた、飲料に向いていると確信しました。

さらに、それまでは缶詰になるか畑で廃棄されるしかなかった、小玉みかんも、ジュースとして使用するには十分であることは大きな収穫でした。日本で初めて作るみかん飲料や、ロスの軽減。胸の内のざわめきをとめずにはいられなかったの​ではないでしょうか。

ついに「ポンジュース」誕生。日​本​一になる願いを込めて...!

「思いついたら何でもやってみたい」という桐野氏の​発想​のもと、​帰国後さっそく役員会を招集し、工場の創設に着手しました​。その甲斐あって、視察からわずか1年の1952年に​製造・販売​までこぎつけたのです。

出典:株式会社えひめ飲料

情熱がたっぷり注がれた​商品​の名は、「ニッポンイチ」になるよう願いを込めて、当時の県知事で松山藩主の血を引く久松定武氏により「ポンジュース」と名付けられました。発売当時の宣伝ポスターには、『日本で生まれて世界に輝くポンジュース』と謳われています。

ちなみに、1953年に英語表記の「PON」から、現在の「POM」に変わりました。

「POM」には、英語で果樹園芸学や柑橘栽培​法を​意味する「pomology」、柑橘類の一種でもある文旦の「pomelo」など、柑橘に縁の深い意味があったため、採用されたようです。

また、久松氏はフランスに住んでいたこともあり、フランス語のあいさつ「ボンジュール」の「ボン」と「ポン」の響きが似てい​た​ので決めた、という説もあります。ポンジュール!

時代の好みを反映し進化。愛される国民的飲料の躍進
出典:株式会社えひめ飲料

今でこそ、ポンジュースは果汁100%ですが、1952年に初めて販売したポンジュースは、当時の人々の嗜好に合わせて、低果汁のジュースでした。

果汁100%は当時の日本人には酸味が強すぎるうえ、そもそも飲み物として馴染みが無かったので、商品化はリスクが高すぎたのです。みかんやオレンジに限らず、戦後の日本には、果物のジュースというものが、ほとんど流通していませんでした。

というのも、その頃親しまれていた飲み物はサイダーのように甘くシュワっとするものがほとんど。普及するには時間を要しました。

消費者の「健康志向」や「天然志向」の機運が高まってきた1969年。時代に先駆けるように、100%果汁のポンジュースが誕生しました。

初めのうちこそ「酸っぱくて胸焼けする」「これは薄めて飲むものか」と言われましたが、救世主となったのが翌年から大々的に始まったテレビCM。知名度、果汁100%への理解度が短期間で劇的にアップし、「ポンジュース」は大ヒット商品となりました。

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変化しながらも、安心をキープ。美味しさを常に追求するスタンス

今やすっかりおなじみとなった赤・白・緑のカラーと​果実​のイラストは、ベースデザインをいかしつつ、ボトルはより使いやすいようにと、実はマイナーチェンジを重ねています。「いつも同じ、だけどちゃんと時代にはフィットしている」という姿は、ポンジュースそのものにもリンクします。

出典:株式会社えひめ飲料

「ポンジュース」のこだわりの味は、香り豊かなオレンジ果汁と、酸味・甘味が調和する国産温州みかん果汁の独自の配合バランス。

美味しさを追求し、長年にわたって​工夫​を重ねているのです。およそ半世紀にわたって「ポンジュース」が愛されてきた秘訣は、美味しさに対する絶大な安定感と、常に時代にマッチしている適応力にあるのではないでしょうか。


えひめ飲料株式会社
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